《5》 いよいよ車いすで飛行機に
- 樋口彩夏
- 2013年2月19日
- 読了時間: 4分
更新日:2024年5月18日
搭乗口にも着いたし、いよいよ飛行機に乗りこみます。
ここで、車いすの人が飛行機に乗るとき、一番、活躍してくれる「機内用車いす」の登場です!
機内の通路は狭くて普通の車いすは通らないので、歩けない私が座席まで行くには、この「機内用車いす」が必要です。
私たちが普段乗っている車いすと何が違うのかというと、後ろの大きいタイヤがスポッと外れて、肘掛けも背もたれの後ろに折りたたまれ、身体の幅くらいスリムになります。(普段乗っている車いすは、もっとカッコいい機能や工夫が満載です!)
飛行機のドア手前までは自分の車いすで行き、となりに停めてもらった機内用車いすに乗りかえます。
ここで、愛車のパルカ(後述)とは、しばしのお別れ。
パルカは預け荷物用のタグをつけられ、貨物室に運ばれます。
身体の一部みたいな存在なので、離れるとちょっぴり心細くなります。
なごりおしい気持ちを抑えパルカを見送り、私は機内へ。
この機内用車いす、目いっぱい細くしているから自分ではこげないので、係りの方が押してくれます。
スリムになったとはいえ通路の幅ギリギリなので、ちょっと間違えば、ぶつかりそうで、押すスピードが速い方だと、スリルがあって冷や汗ものです。笑
途中で方向転換ができないため、座席への移動に備えて後ろ向きで進むので、なおさらかもしれません。
パルカというのは、私が普段乗っている車いすの名前です。
名前の由来は・・・。
車いすのフレーム(パイプ)の色:パールホワイト
タイヤの色:あか
【パ】ー【ル】ホ ワ イ ト + あ【か】 = パルカ
ちなみに、自宅(室内)用車いすの名前は、カクゾウです。
ちょっと話がそれましたが、座席に移れば、あとは機内の時間を楽しむだけ。
機内での過ごし方も、だいたいパターンが決まっていて、機内誌を全ページ読んで、ラジオもひと通り聞いたりしていると、あっという間に着いてしまいます。
車いすの場合、移動に少し時間がかかるので、乗るときは一番最初、降りるときは一番最後です。
あと少しで機内誌が読み終わるのに・・・、というときは、ほかの乗客の方が降りている間、つづきを読んでいられるので、ちょっとラッキーと思って読み続けます。
ほかの方が飛行機から続々と降りていく中、ひとり座席に残って本を読んでいると、不思議そうに眺めて通り過ぎていく視線を感じます。
そんなのお構いなしに、もくもくと機内誌を読んでいるのですが、「私が降りずに座っている理由を、“歩けないために車いすを待っているのでは?”と想像できる人はいったい何人いるのだろうか?」と考えてみたりもします。
「車いすで飛行機に乗れるの?」という質問をされるくらいだから、まだそんなにいないのかなぁと思います。
でも、車いすの人がもっと普通に飛行機に乗れるようになったら、“あの人、車いすなのかも”と自然に想像できる人が増えるような気もします。

イラスト:ふくいのりこ
さぁ、パルカも貨物室から届いたので、私も降りよう。
空港という場所がら、スーツケースなどの大荷物で行くことも多く、一人だと荷物が運べなかったり、広い空港での移動に困ることもありますが、荷物を持ってくださったり、保安検査ゲートで待ち合わせて案内をしてくださるなど、必要に応じてサポートをしていただけるので、空港に着けば大丈夫、という安心感があります。
飛行機から降りてからも、到着ロビーまでの案内や、電車やバスのところまで移動を手伝ってくださり、とても助かっています。
安心して飛行機に乗ることができるのもサポートをしてくださる、みなさまのお陰なので、本当に感謝しています。
最後に・・・。
私のように、手でこぐ手動式の車いすに乗っている人は、とくに制約なく飛行機に乗ることができます。
しかし、電動車いすや医療器具の持込みが必要な方にとっては、いろいろとご苦労があるようです。
寝たきりだったころ、ストレッチャー(寝台・簡易ベッド)のまま飛行機に乗りましたが、手続きを含め、当日もとても大変でした。
当時は、まだ中学生で治療中の身だったので両親がしてくれましたが、今も煩雑なままなのだろうかと、これを書いていて気になりました。
今回、私が飛行機好き、ということくらいしか伝わっていないのではないかと少し不安ですが、次回は、電車での移動について書きます。
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