《6》 複雑な駅の構造がすべて頭に入っている駅員さん
- 樋口彩夏
- 2013年2月25日
- 読了時間: 5分
更新日:2024年5月18日
無事、羽田空港へ着いた私は、ホテル○○○○○○○へ向け、いざ モノレール・電車・地下鉄へ。
そんな大袈裟に言うほどのことではなく、モノレール・電車・地下鉄も安心して乗れるので、とても便利です。
私の中で、利用しやすい交通手段ランキングをつくるとしたら、こんな感じでしょうか。
〈物理的〉 | 〈心理的〉 |
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2. 電車・地下鉄・モノレール | 2. 飛行機 |
3. 新幹線 | 3. 高速バス |
4. 路線バス | 4. 電車・地下鉄・モノレール |
4. 高速バス | 5. ハンドバイク(自転車) |
6. 飛行機 | 6. 新幹線 |
7. ハンドバイク(自転車) | 7. 路線バス |
※自動車・・・アクセル・ブレーキを手で操作できるように改良し、自分で運転します。
上記のように、物理的に利用しやすいランキングで、電車などは上位にランクイン。
では、切符を買って、電車に乗ります。
今どき、ICカードでピッ!なのかもしれないけれど、歳のわりにアナログなのです。
今回は、せっかくなので、車いすでのモノレールデビューを果たそうと、京急ではなくモノレール乗り場へ。
赤坂見附駅へ行きたい旨を伝えると、駅員さんが車いすでの乗り換えを考慮したルートを提案してくださいました。
【羽田空港駅】―モノレール→【浜松町駅】―電車→【東京駅】―地下鉄→【赤坂見附駅】
駅員さんおすすめルートでGo!
その際、車体とホームの間に段差やすき間があるので、駅員さんがスロープを使って手伝ってくださいます。
まずは、改札にいる駅員さんへ目的地を伝え、しばらく(けっこう長く)待ちます。
なんの待ち時間かというと、乗る駅と降りる駅でのスロープの手配がつくのを待っているのです。
“改札近くの駅務室で降りる駅との調整をした後、駅員さんとホームへ向かう” 場合もあれば、
“とりあえず駅員さんとホームへ行き、その間、ほかの駅員さんが駅務室で調整をしてくれ、ホームに設置している電話や無線でホームの駅員さんに、「何分の電車に乗っていいよ」という連絡が入る” 場合などがあります。
大きな駅になるほど後者が多く、待ち時間も長いのです。
その理由は、2通りあります。
1つ目は、乗る駅で車いすの人が重なったときの順番待ち。
2つ目は、降りる駅で手伝ってくれる駅員さんの手配待ち。
どちらも見方を変えただけで、駅員さんの手が足りていない、ということです。
東京や新宿、品川駅などは利用する方が多いぶん、車いすの方も多いようです。
改札のところに、車いす、車いす、、車いす渋滞になっていて、驚きました。
だから、案内専門の係りの方が数名いらっしゃるそうです。
順番が回ってきたので係員さんについていくのですが、その後ろ姿はいかにも“仕事人!”という感じで、とても頼もしいのです。
それもそのはず、その駅の構内図がすべて頭に入っているそうで、「この駅のことなら、なんでも答えられます!」と自信たっぷりにおっしゃっていました。
人混みの中を車いすで通っていると、なかなか前に進めないのですが、係員さんの貫禄のお陰でホームまでスイスイです。
「車いすの方が通りまーす。」
「お客様が通りまーす。」
「足元、危険ですので道を空けてくださーい。」
「ご協力ありがとうございまーす。」
などなど、さまざまなバリエーションの呼びかけと素早いアクションでの誘導に、いつも感嘆しています。

イラスト:ふくいのりこ
ホームについても、スロープの手配がまだなことが多いので、それを待つ間は駅員さんや係員さんと話をしています。
だいたい2,3本の電車を見送らなければならないことが多く、急いでいるときや気持ちに余裕のないときは、「ひょいっと乗れたらいいのに、あ~ぁ。」と、もどかしさ半分、空しさ半分な気持ちになります。
ドアの開いた電車を、ただただ見送るのは、何ともいえない空しさです。
しかし、好奇心旺盛な私にとっては、駅員さんに日頃気になっていたことを質問する絶好のチャンス!
あれ何?これ何?から始まって、駅や電車の豆知識など、駅員さんとの会話が弾みます。
よく利用する駅では、お互いに名前を覚えるようになり、今日は○○さんいるかなぁと楽しみが増えるのです。
乗り換える駅でのスロープの手配ができたそうなので、ようやく次の電車に乗ることができます。
駅員さんは、電車がホームに着くと、慣れた手つきでホームと車体の段差にスロープを渡し、
「お客さまぁ、乗車ご案内中~。○号車○番ドアより乗車~。○○駅、下車~。・・・乗車案内、終了~。」
と、手持ちの小型マイクでザ・駅員さんな感じのアナウンスをします。
最近ではプライバシーの問題で、人によっては降りる駅をアナウンスしてほしくない方もいるようで、電車がくる前にアナウンスをしてもいいかの確認があります。
スロープをわたり電車に乗ると、駅員さんの「お気をつけて、いってらっしゃ~い」という笑顔に見送られ、電車が動き出します。
乗り換えの駅に着くと、こちらでも駅員さんがスロープをもって迎えてくださいます。
「○号車○番ドアより、お客さまご案内中~。 ・・・降車案内、終了~。」
ここでも、お決まりのアナウンスですが、降りるときは、乗り換えも控えているので乗るときよりも、あっさりしています。
そして、乗り換えのホームまで一緒に移動し、電車に乗せていただいて、お別れです。
乗り換えの場合は、最初に全ての駅での段取りを組んでくださるので、途中での待ち時間はほとんどありません。
初めて行く場所の場合、利用する駅にエレベーターがあるのか等は、もちろん調べておくのですが、地理が分からないと不安なので駅員さんはとっても心強い存在です。
電車の中でも、近くの乗客の方とお話していたので、あっという間に赤坂見附駅に到着です。
駅から目的地のホテルまで、(車いすで)歩くこと5分。
自宅を出てから、約7時間、無事に到着しました。
通常だと5時間くらいで着くのでしょうが、車いすだと、乗り換えや待ち時間などで時間がかかってしまいます。
しかし、以前は、駅といえどもエレベーターのないところも多く、人力での介助にも限界があり、利用できる交通機関はぐっと限られていました。
それを考えると、ここ数年でバリアフリー化が進み、車いすユーザーにとってもかなり生活がしやすくなったと思います。
まだまだ改善のできるところはたくさんあると思いますが、少しずつ良くなって、近い将来は、どんな障害の人でも行きたいところに行けるような環境になってほしいなぁと思います。
今回も、たくさんの方に助けていただきました。 あらためて、感謝です。
次回は、これまでの道中や生活の中での小ネタ集。
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