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《12》 バリアフリーとユニバーサルデザイン、どう違うのかな?

  • 樋口彩夏
  • 2013年4月8日
  • 読了時間: 4分

みなさんは、今、生活に不自由を感じていることはありますか?

私のように、障害をもったことで、さまざまな壁にぶつかっている方も たくさんいらっしゃると思います。

今は健康な人も、いずれは年を重ね、どこかしら不自由が出てくるでしょう。

また、いつ病気や事故で身体が不自由になるかも分かりません。

けっして、他人事ではないと思います。

そうなったとき、今までと変わらない生活のできる社会であってほしいと思いませんか?

明日かもしれないし、何年も何十年も先のことかもしれないけれど、いつか必ずくる未来に備えて、「だれもが暮らしやすい社会」について、私といっしょに考えながら、読んでいただけたら嬉しいです。

みなさんの周りをぐるっと見回してみてください。

男の人、女の人、大人、子ども、お年寄り・・・さまざまな立場の人がいると思います。

そして、身近にはいないかもしれないけれど、目が見えない人、耳が聞こえない人、手足がない人、車いすの人、などなど、挙げたら切りがないくらい、いろいろな人が同じ日本で生活をしています。

障害のある人も、ない人も、すべての人が暮らしやすい社会」について考えていたら、“バリアフリー”と“ユニバーサルデザイン”という言葉が浮かんできました。

どちらも似たような場面で使われている気がしますが、この2つの言葉にはどのような違いがあるのでしょう。

なんとなく理解はしていましたが、あらためて それぞれの意味を調べてみました。

まずは、“バリアフリー”。

 障害になるもの(バリア)を取り除く(フリー) = (バリア)+(フリー) = バリアフリー

もう説明もいらないくらい浸透している言葉かもしれません。

例えば、お店の入口にある階段。

車いすの人にとって、階段を上がることができないので、それは障害物になります。

でも、そのバリアを取り除き、スロープに換えることで、車いすでもお店に入ることができます。

この場合、スロープが“バリアフリー”です。

障害者や高齢者など、バリアを感じている人のために考えられた工夫のことを言います。

そして、“ユニバーサルデザイン(UD)”。

バリアフリーが障害者など一部の人を対象にしているのに対して、ユニバーサルデザインは、すべての人を対象にしています。

子どもから大人まで、障害のある人もない人も、みんなが使える方がいいんじゃない?という考えで、初めから そういう工夫をしているものを指します。

ユニバーサルデザインという考え方を広めたのは、アメリカに住んでいるロナルド・メイスさんという方でした。

白ひげをたくわえた、優しいほほえみの男性です。

彼はポリオという病気で、幼いころから電動車いすでの生活を送っていたので、バリアフリーに触れる機会がたくさんありました。

しかし、障害のある人“だけ”のためにと、健常者と障害者を区別する姿勢が好きになれなかったのです。

障害のある特別な人のため…という見方をするから、障害のある人にもない人にも、どこか気持ちのバリアが生まれてしまうのではないか、と彼は考えました。

「だったら、最初からみんなが使いやすいものを創ればいいじゃないか!」

この発想が、ユニバーサルデザインの始まりです。

このように書くと、“バリアフリー”より“ユニバーサルデザイン”のほうが優れているのでは?と思ってしまいそうですが、そうではありません。

どちらか一方とかではなく、それぞれ補いあっているものなのです。

たとえば、歩道を思い浮かべてみてください。

みなさんの頭に浮かんだ歩道に、点字ブロックはありましたか? それは、どの位置にありましたか?

点字ブロックは、目の見えない人にとっては、“進行方向が分からない”というバリアを取り除いてくれる、大切なバリアフリーです。

しかし、車いすや杖など足の悪い人にとっては、どうでしょうか。

デコボコしている点字ブロックは、車いすの人にとって、ガタガタと振動がひびいて痛かったり、キャスターをとられて進むのが難しくなります。

杖の人にとっては、杖や足が段差に引っかかって転びそうになることがあります。

まったく反対のニーズですが、どちらにとっても使いやすいようにするには、どうしたらいいのでしょうか?

点字ブロックは歩道の真ん中にあることが多いですが、それを片側によせてみると・・・。

歩道の片側が広くなり、車いすでも通りやすくなりました。ベビーカーや手押し車も通りやすいですね。

点字ブロックもちょっと端にずらしただけなので、目の見えない人もちゃんと使えます。

この場合、点字ブロックそのものはバリアフリーで、その位置をちょっとだけ動かすことがユニバーサルデザインなのです。

“バリアフリー”と“ユニバーサルデザイン”。

それぞれが得意分野で補いあうことで、より多くの人が使いやすい環境が創られるのですね。

次回は、私たちの生活の中にある身近な“バリアフリー”と“ユニバーサルデザイン”について。

イラスト:ふくいのりこ 


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