《16》 バリアフリーとユニバーサルデザインは身近なもの
- 樋口彩夏
- 2013年5月13日
- 読了時間: 4分
私たちの生活の中にある“バリアフリー(BF)”と“ユニバーサルデザイン(UD)を、1日の流れを追いながら探しはじめました。
前回、朝ご飯を食べおえたので、身支度をして、学校なり会社なりに出かけるところからスタート♪
<UD> 靴をはく・・・マジックテープの靴
これは、子どもの頃にお世話になった方も多いのではないでしょうか?
ペリッとはがしてペタッとくっつけ、はい、できあがり!と、ひもを結ぶ手間いらずで、簡単に靴をはくことができます。
片手が使えなかったり、病気や怪我で手の不自由な方に優しいのはもちろんですが、まだひもを結べない小さなお子さんやご高齢の方にとっても、使いやすいですよね。
ちょうちょ結びが苦手でなかなか真っ直ぐならない、という方にも強い見方です!
ひもがほどけて転んじゃった、なんてことも回避できそうです。
<BF,UD> 通勤、通学・・・駅、道路のいろいろ
駅や道路をはじめ、街の中には バリアフリーやユニバーサルデザインがあふれています。
点字ブロックやエレベーターにエスカレーター、非常口やお手洗いなどをわかりやすい絵で表わしている ピクトグラム、などなど。
普段 なにげなく渡っている交差点で 信号機から鳴っている、「ピヨピヨ」や「カッコー」もBFやUDのひとつです。
タテとヨコで 鳴っている音が違うことには、お気づきでしたか?
目の見えない方は、この音を聞いて信号を渡っているようです。
「あっちに行きたいからピヨピヨで渡ろう。」
「行きたい方向からカッコーが聞こえるから、青なんだ!じゃあ、渡ろう。」などで判断をしているのでしょうか?
信号が見える人でも、たまにボーッとしていたり考え事をしながら信号待ちをしていると、不意に鳴りはじめる「とぉ〜りゃんせぇ、と〜りゃんせぇ・・・♪」に驚いて 渡りはじめることもありますよね。
なによりも、にぎやかな音や音楽とともに 楽しく渡ることができます♪
<UD> 学校、職場・・・利き手を選ばないハサミ、軽い力のホッチキス
最近では文房具も、実用的なものから遊び心のあるものまで、さまざまなものがあります。
たとえば、ハサミ。
右手で使うと普通に切れるのに 左手で使うと切れない、という経験はありませんか?
私は小学生のとき、遊びで左手で使ってみたけれど 切れなかった、ということがありました。
左利き用ハサミが販売された後、右手でも左手でも使える 利き手を選ばないハサミも販売されました。
右利き用と左利き用では、刃の合わせ方が違うので、どういう工夫をしたのか聞いてみたいなぁ。
ホッチキスも、従来のものと比べると、半分くらいの力で楽に留められるものがあります。
書類をたくさん あつかう方には、嬉しいアイテムですね。
私は文房具が大好きなので、文房具屋さんに行くと、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
これからの文房具の進化が楽しみです。
<BF,UD> 外出先でのお手洗い・・・多目的トイレ
車いすで出かけるとき、一番の気がかりは、なんといってもトイレ!
どう頑張っても普通のトイレには入れないので、ちょっと広めのお手洗いが必要です。
多目的トイレとは、車いすでも入れる広いスペースをはじめ、オストメイト(人工肛門・膀胱)に対応した設備が備えられていたり、おむつ替えシートなどのあるお手洗いがそう呼ばれています。
最近では、重度の障害で横になっての介助が必要な方も使えるように、折りたたみの簡易ベッドを備えているところも見かけるようになりました。
多目的トイレの入口には、たいてい、この文句が書かれています。
「どなたでもご利用ください」
みんなが使えるもの=ユニバーサルデザインと言ってきましたが、多目的トイレがUDと言われることに関しては、今の使われ方を見ていると、「ちょっと違うんじゃないかなぁ?」と思ってしまいます。
オストメイトの方や車いすの人は、“そこしか使えない”んです。
でも、たとえば お子さま連れの方などは、すべてがそうではありませんよね?
一緒にいる人に預けたり、おむつ替えシートも 普通のトイレにあるところも多いはずです。
多目的トイレを使わないといけない場合もあるとは思いますが、入口の表記どおりに“どなたでも”が使ってしまうと、“本当に必要な人”、“多目的トイレ しか 使えない人”が使えなくなっている現状があります。
これではUDやBFという言葉の背景からして、本末転倒ですよね?
それぞれの立場を思いやる “心のバリアフリー” も必要なのかもしれません。
車いすユーザーなどトイレの悩みを抱える方にとって、トイレ事情はとても大切な問題なので、改めて取り上げたいと思います。
バリアフリーやユニバーサルデザインというと、健康な人は「自分には関係ないんじゃない?」と思われがちです。
でも、そんなことはありません。
このように、ちょっと見渡せば たくさん見つかるくらい身近なものなのです。
障害者だけではなく、みなさんの生活を豊かにしてくれるBF、UDたちを、少しでも身近に感じてほしいなぁ、と思いながら書いています。
次回は、帰宅から就寝まで。

イラスト:ふくいのりこ
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