《18》 iPadで尋ねると立ち止まってくれる不思議
- 樋口彩夏
- 2013年5月27日
- 読了時間: 4分
5月も最後の週になりました。
平日は仕事、週末はアピタルと あっという間に1週間が過ぎ、これだけてんてこ舞いなのに、まだ2カ月!?と不思議な感覚です。
バリアフリー<BF>、ユニバーサルデザイン<UD>な1日、つづき・・・。
<BF,UD> パソコン・・・キーボード、マウス、音声入力など
今では仕事でもプライベートでも、パソコンのない生活なんて考えられないほど、世の中にパソコンが浸透しています。
このコラムを読んでくださっている みなさんにとっては、とても身近なものですよね。
パソコン(周辺機器を含む)の頭の良さは言うまでもありませんが、賢いだけではないんです。
目の見えない人には、その人に代わって文字を読み上げてくれたり、点字に変換をして表示してくれたり。
文字の入力やマウスの操作などに不自由がある人のためには、話しかけた言葉を聞きとったり、少ない動きで入力できるような仕組みを用意してくれていたりもする、優しさも兼ね備えています。
その中でも、トラックボールを使われている方もいるのではないでしょうか。
トラックボールとは、枠に埋め込まれた球体のボールを転がすことで、カーソルやポインタを動かすものです。
マウスは本体ごと動かすので、大きくて繊細な動きが必要になりますが、トラックボールの場合、丸いボールを転がすだけなので 動きも小さく、障害の重い方にも重宝されているようです。
音声を認識して動いてくれるのは、その上をいっていますね。
スマホが普及してからは、使う機会は少なくても、その存在はグッと身近になったように思います。
こちらの声を認識してくれるのとは反対に、メールやサイトなどの文字を読み上げてくれる機能もあります。
以前はロボットのような話し方で聞き取りにくいものもありましたが、スラスラ読んでくれるものを聞いたときには、素直に感心しました。
また、ホームページなどのデザインにも工夫があります。
赤と緑など、特定の色の区別がつきにくい色弱の方への配慮や文字の書体・大きさなど、単純に見やすい工夫、読み上げソフトの作動に影響の出ないプログラムを組む、などなど、私の知らないところでたくさんの工夫がされていることが分かりました。
以前、盲ろう者(目も見えない、耳も聞こえない人)のための通訳講習でお会いした聴覚障害の女性は、「iPadが欠かせない」とおっしゃっていました。
なぜiPadが便利なのかというと、紙とペンを持ち歩かなくていいから!
話せばすぐ終わる内容でも、筆談をしていると たくさんの紙を使います。
通りすがりの人に道を尋ねたり、はじめて会う人だったりすると、なおさら相手が読みやすいように大きな文字で書いたりもするでしょう。
その点、iPadだと、画面が文字でいっぱいになっても ワンタッチで真っ白画面になるので、たくさんの紙を持ち歩かなくて済むのです。
さらに、あるアプリがとっても便利なんだとか!
2人で会話をする際、iPadをはさんで 相手と向かい合います。
画面の手前半分に文字を書くと、画面の向こう半分に書いた文字が反転して、相手の読む方向に表示されるのです。
しかも、文字を書くのと同時に、反転された文字が出てきます。
「書いたあとに、ひっくり返せばいいじゃん?」
たしかに、私も最初はそう思いました。
筆談をしていると、下記の( )のようなタイムラグが発生します。
「Aさんが書く → (ひっくり返す → 文字を読む →)
Bさんが書く (→ ひっくり返す → 読む)」の くり返し。
それが、このアプリを使うことで、
「Aさんが書く=Bさんが読む → Bさんが書く=Aさんが読む」 の くり返し。
となり、相手が書くのを待つ、相手が読むのを待つ という時間がなくなり、スムーズな会話ができるようになるのです。
また、私の場合、理解したいと思うあまり 反対側でも一生懸命 読み取ろうとして、会話が長くなると疲れてしまうことがありました。
でも、このアプリで話したときは、文字を書くのと同時に反転した文字が出てくるので、長いやりとりでも楽しく会話をすることができました。
そして、その女性は、こうも おっしゃっていました。
「紙に書いて尋ねたときより、iPadで尋ねたほうが、相手が快く立ち止まって、答えてくれる気がする」
なんとなく分からないでもないけれど、これについては、どういう心理が働いているのでしょうか。
こういう優れた物や機械を生活に取り入れることで、今までできなかった事ができるようになるなんて、ステキだなぁ♪、と実感したできごとでした。
次回こそ、就寝までいきたいな。

イラスト:ふくいのりこ
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