《19》 健常者にも役に立つデザインです
- 樋口彩夏
- 2013年6月3日
- 読了時間: 4分
先週末、福岡県飯塚市で行われた、車いすテニスの国際大会を観に行ってきました。
天気は、どしゃ降りの雨模様。
「しとしとぴっちゃん、しとぴっちゃん〜♪」が頭の中で流れる中、会場へ着くと、空気が一変。
車いすテニスを初めて観た私は、国内外の選手たちの迫力あるプレーに圧倒されてしまいました。
テニスの試合自体観たことがなかったので、試合以外のところでも おもしろい発見がたくさん。
これを機に、スポーツにも興味をもってみようかなぁ。
さて、バリアフリー(BF)、ユニバーサルデザイン(UD)な一日も、いよいよ大詰め。
《15》、《16》、《17》、《18》で、ひと通りのことは終えたので、あとはお風呂に入って眠るだけになりました。
<UD> お風呂・・・シャンプーのギザギザ
ここで、クイズです。
「シャンプーにあって リンスにはないもの、な〜んだ?」
答えは、「ボトル側面 と ポンプ上部のギザギザ!」
《15》で、イラストの中の“あやかちゃん”がお風呂に入っていました。
(自分で言うなよ!という声が聞こえてきそうですが、いつもかわいいイラストを描いてくださる ふくいさん への感謝の気持ちと愛着をこめて、ひらがなで“あやかちゃん”と名付けたいと思います。)
目が開けられないので、そーっと手をのばすと、そこには2本のボトル。
「あれっ? シャンプーはどっちだろう?」というご経験、きっと みなさんも何度かあるのではないでしょうか?
障害者のためにバリアフリーにしたり、みんなが使えるものにしたりとユニバーサルデザインを意識するあまり、図らずも誰かにとって使いづらくなってしまった、というものが たまに存在します。
しかし、このシャンプーのギザギザは、
・ボトルにギザギザをつけるだけで、目の見えない人もそうでない人も使いやすくなる。
・健康な人のジャマにならない。
・デザイン性も損なわない。
これぞ、UD!!ではないかと、個人的に思っています。
何かしらの工夫をすることで 障害者には使いやすくなったものの、健常者には使いづらくなってしまった。
これでは意味がありません。
そして、見た目も大切です。
介護・福祉用品というと、ちょっぴりダサかったり、カッコイイ・カワイイものは少なかったりするように思います。
いかにも、「特別な工夫をしていますよ!」的な見た目は、間接的に、健常者と障害者のミゾを作っているようにも感じます。
そう考えると、やっぱりシャンプーのギザギザは秀逸♪
健常者・障害者で区別するつもりはありませんが、こういうWin-Winなもの、双方が使いやすいものがもっと増えてほしいなぁと思います。
<UD> 就寝・・・電気の延長ひも
寝室の電気のひもに、適当なひもやリボンをつけ足して長くする、あれです。
「えっ? あれがUD!?」と拍子抜けしないでくださいね、私、まじめに言っています。
今は電気のリモコンが普及したので、見かけなくなったかもしれませんが、少し前までは多くのご家庭で見られていたものだと思います。
「さぁ、寝よう!と布団に入ったはいいものの、電気を消していなかった・・・」
せっかく横になったのに、また立ち上がらなくてはいけません。
寒い冬なんかは、それすらも億劫ですよね。
寝たまま 手を延ばすだけで 電気が消せるようになれば、とても便利です。
それに、もともと付いているひもは短いので、子どもは届かないことが多かったように思います。
そこに、ひもをつけ足して長くすると、どうでしょう?
今までの長さで使えていた大人も 便利になるし、手が届かなかった人も使えるようになります。
ほら、UDでしょう!?
これくらい“生活になじんだ、自然なUD”が増えたらいいなぁ♪
バリアフリーやユニバーサルデザインと聞くと、むずかしく考えがちだけれど、
“使い勝手が悪いから、ちょっと工夫をする” ただ それだけで、みなさんの“生活の知恵”を大きくしたようなものなんじゃないかなと思います。
作り手の方は さまざまな知識が必要ですが、すこしでも使いやすく、生活しやすくしたい とは、誰もが思うこと。
それを叶えるためには、物理的な工夫とあわせて、お互いを思いやる心があると、パッと開けてくる気がします。
そこで次回からは、バリアフリーのハード(物理面)とソフト(心理面)について、考えてみます。
ようやく、長い一日がおわりました。
明日もみなさんにとって、ステキな一日となりますように。
また来週、ここでお会いできることを楽しみにしています。
おやすみなさい♪

イラスト:ふくいのりこ
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