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《33》 車いすの闘い

  • 樋口彩夏
  • 2013年9月30日
  • 読了時間: 4分

先月はじめの週末、車椅子バスケットボールの九州大会を観に行ってきました。

毎年9月初旬に開催されていて、全14チームでのトーナメント方式。

九州全県と山口・広島から、選手たちが集まってきます。

みなさんは、車椅子バスケをご覧になったことはありますか?

それは、もう、すごい迫力で、目の前で観ていると選手たちのパワーに圧倒されてしまいます。

シューっと縦横無尽にコートをかけ抜け、車いすとボールを意のままにあやつるテクニック!!

車いすごとガツンッ!と、ぶつかり合っての攻防もあれば、勢いあまって、車いすごと転倒しひっくり返ることも。

“車いすの格闘技”とも言われる理由は、その激しい一面にあります。

いわゆる“障害者スポーツ”のイメージが、ガラガラと音をたてて崩れるくらいの衝撃でした。

技術的なことはよく分からないけれど、男子も女子もかっこいい!!

でも、ぶつかったり転んだりは痛々しくて怖いので、ところどころ目をおおったりしながら観ていました。

私がはじめて車椅子バスケの試合を観たのは、一昨年のこの大会です。

ひとりも知り合いのいなかった私は、ただ「かっこいいなぁ」と観ているだけ。

しかし、交友関係が広がるにつれて、だれかを応援するという楽しみが年々増えていきました。

すっかり、毎年恒例のイベントとなりつつあります。

車椅子バスケットボール=「イスバス」の愛称で、もっとたくさんの方に親しんでもらいたいなぁ。

そこで、車いすに乗ったひとりの男性・Xさんと出会いました。

試合中の動きを観ていると、70歳を超えているなんて、とても信じられません。

その方をはじめ、チームのみなさんとお話をする中で、

障害者スポーツや車いす業界の昔話を聞かせてくださいました。

勉強になるお話も、楽しいお話も、たくさんあったのですが、その中からひとつ。

車いすメーカーに勤めていたXさんのお仕事をとおして、先輩方の努力があるおかげで今がある、というお話をご紹介したいと思います。

それは、車いすを購入する際に行政から支給される助成金に関するお話です。

助成金ってなに?ということを簡単にご説明してから、本題へ入ります。

私のように足が不自由で歩くことのできない人にとって、車いすは足代わりです。

よって、車いすを選ぶことは、車いすユーザーにとって一大事。

ベッドへ横になって眠る時間以外、すべての生活をともにするため、もはや身体の一部も同然です。

電動・手動の選択にはじまり、それぞれの障害や体格・用途に合わせたものを造る必要があります。

“車いす”とひとくちに言っても実にさまざまですが、けっして安い買い物ではありません。

しかし、歩けない人にとって、車いすは生活に欠かせないものであることも事実。

購入の際は、その点を考慮し、国や地方自治体から助成金が交付されるようになっています。

それを受けるには、当然、きびしい審査があって、必要性を認められた場合にかぎり、総額の一部が助成される仕組み。

なにを審査するのかというと、購入希望の車いすが障害の程度に見合っているかどうか。

主治医の診断書や業者からの見積もり・設計図などをもとに、行政が選定した判定医と呼ばれる医師が判断していきます。

そして、どこの業者が車いすを製作するのか、という点も重要になってきます。

診断書にならぶ判断材料として、見積書がある。

このことから、助成金の采配を担う行政としては、信頼のおける業者かどうか見極める必要があるのでしょう。

そこで役所は、助成金交付対象となる「業者リスト」を作りました。

このリストに入るためには業者が、入れて〜!と申請をすることからはじまります。

車いす業者の経営状況や過去の販売実績などをもとに、行政機関が審査をする。

基準にかなえば認可がおり、晴れて、「業者リスト」の仲間入りという具合です。

今では、私の住んでいる市で約50社もの業者がリストに名を連ねていますが、昔は片手で数えても事足りるほどしか認可がおりていなかったとか。

次回は、Xさんの勤めるメーカーが「業者リスト」に入るまでのお話です。

イラスト:ふくいのりこ 


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