《97》 真に役立つ相談支援のカタチって?
- 樋口彩夏
- 2015年8月17日
- 読了時間: 3分
来たる8月26日、「地域統括相談支援センターで変わるがん相談」と題したシンポジウム(http://www.jcancer.jp/can-navi/symposium2015/)が東京で開催されます。
私は昨年度から、がん医療における相談支援の在り方を考えてきました。
厚生労働省の委託事業として発足した「がんと診断された時からの相談支援検討委員会」の委員として、患者の立場から参画しているのです。
今、国民の2人に1人は、がんになると言われています。
もし、突然“がん”と宣告されたら、どんな気持ちを抱きますか?
私は14歳で“がん”と診断された時、いろいろな不安が押し寄せてきました。
治療のこと、学校のこと、これからのこと——。
たくさんの不安が頭をよぎり押しつぶされそうになったのは、私だけではないはずです。
きっと、がんに罹患したすべての人が、同じ思いをしているのではないでしょうか。
ひとりで悩んでいるとき、誰かに話を聞いてもらうだけで、前向きになれることがあります。
治療を急ぐあまり視野が狭くなっているとき、専門的なアドバイスを得ることで事態が好転することもあるでしょう。
そんなふうに患者・家族に寄り添ってくれる「相談支援センター」が、全国のがん診療連携拠点病院に設置されています。
しかし、がん患者・家族の悩み、相談のニーズは多岐にわたっています。
・医療面だけでなく、心理、生活、介護についても、1カ所で相談にのってほしい
・主治医や現在の治療に不満が・・・。外部の人に相談したい
・かかりつけの病院で治療法がないと言われた。他の病院の見解や情報を知りたい
患者さんの数に応じて相談の幅は広がり、院内に設置された相談支援センターだけでは対応しきれない課題が生じてきたのです。
そこで、厚生労働省が推進しているのが「地域統括相談支援センター」の新設です。
目的は、拠点病院だけでは解決できない、より広範な相談に対応すること。
相談支援センターでは浚(さら)いきれなかった相談を拾い上げ、既存施設との連携を図る元締的な役割が期待されていることから、都道府県ごとの設置が推奨されています。
がん患者・家族にとって、真に役立つ相談支援体制とは、いったいどんなカタチなのでしょうか?
委員会では、患者・家族の相談ニーズを知るために、当事者へのアンケートを進めています。
また、地方自治体でがん相談支援行政に携わる主管課への聞き取り調査も行いました。
地域統括相談支援センターならびに類似機関の実態を把握するため、各地で視察を重ねてきたところです。
そこから見えてきたのは、地域ごとの特色にあふれた実に多様な形態でした。
それらの好事例を共有しようと企画されたのが、冒頭のシンポジウム(8月26日水曜日)です。
国民の半数ががんになると言われている今、がんになっても安心して暮らせる社会が求められています。
行政担当者や相談支援業務に携わる人はもちろん、患者さんやご家族の方も参加し、がん相談支援の未来をみなさんで一緒に考えてみませんか?

イラスト:ふくいのりこ
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