《57》 「麻薬を持って海外へ」 その意味がわかりますか?
- 樋口彩夏
- 2014年4月19日
- 読了時間: 4分
私は普段、痛み止めとして、医療用麻薬(オピオイド鎮痛薬)を服用しています。
発病当初、14歳から使いはじめたので、かれこれ10年が経ちました。
常にある痛みとしびれのため、その薬がなければ、日常生活に支障をきたします。
いろいろ使ったけれど、“モルヒネ”であれば、ピンとくる方もいるのではないでしょうか。
肌身離さず持ち歩いている、医療用麻薬。
当然、海外へ行くときも、例外ではありません。
しかし、他の荷物と一緒にクスリを持っていこうものなら、医療用といえど、麻薬の密輸容疑で捕まってしまいます。
そうならないためには、正式なルートをたどって、法律に守られた「許可」をもらわなければなりません。
厚生局麻薬取締部の資料(携帯による医療用麻薬等の輸入・輸出手続きに関する手引き)には、こう書かれています。

ま、ま、麻薬の輸入・輸出!?
普段、服用しているクスリを持って行くだけで、こんな大事になるなんて思ってもいませんでした。
そんな手続きがあるんだ〜♪ということで、申請の流れをご紹介します。
主な登場人物・関係機関は、6つ。
・申請者
・主治医
・地方厚生局麻薬取締部 [以下:麻取(まとり)]
・税関
・経済産業省
・各国の駐日大使館
登場機関だけでも、物々しいです。
大きくわけて、2つの手続きが必要です。
・日本を出国・入国するためのもの
・訪問国を出国・入国するためのもの
まず、日本を出入国するために必要な手続きは、
厚生労働省管轄の麻薬取締部→財務省管轄の税関、の流れで進んでいきます。
ステップ1:地方厚生(支)局長の許可をもらおう
1.麻取に電話で相談する
2.主治医に診断書を書いてもらう
3.申請書を入手→記入→郵送
——「麻薬携帯輸出許可申請書」、「麻薬携帯輸入許可申請書」
4.麻取から許可証が届く
——「麻薬携帯輸出許可証」、「麻薬携帯輸入許可証」(日本語版、英語版)
これで海外へ医療用麻薬を携帯する許可を、地方厚生(支)局長からもらうことができました。
税関で行なう手続きは、麻取から許可をもらっていることが前提となっています。
ステップ2:税関に申告し、承認をもらおう
1.税関へ電話で相談する
2.申請書を入手→記入→申請
——輸出(輸入)託送品申告書(税関の定める様式)
——輸出(輸入)承認申請書(経産省の定める様式)
3.税関から許可印の押された書類が届く(上記2種)
日本の手続き、完了(所要期間:約2週間)。
つぎは、訪れる国に関する手続きです。
それぞれの国で異なるので、当該国の駐日大使館へ問い合わせる必要があります。
国によっては、手続きのいらないところもあるようです。
韓国の場合は、要申請!とのことでした。
申請をする先は、食品医薬品安全処・医薬品安全局麻薬政策課という機関になるそうです。
ここでは、麻取の「麻薬携帯輸出入許可証」がとても役に立ちました。
麻取の許可証があれば、医師の診断書(英文)と処方箋(英文)を省略することができるのです。
韓国の手続き、完了(所要期間:約1週間)。
大切なお供として、麻薬を海外へ連れて行くために必要なものをまとめると、片道・下記4点です。
・麻薬携帯輸出許可証
・輸出託送品申告書
・輸出承認申請書
・訪問国の許可証
こうやって書くと、あっさり済んだように見えるかもしれないけれど、けっこう面倒な手続きでした。
許可証のあるおかげか、いざ税関へ行くとスムーズに通れてしまいます。
本当に必要なのだろうか?という疑問を抱いたことは、ここだけの話です。
今週末(4月18日から21日)、韓国へ行ってきます。
日本と韓国の小児がん関係者が集まって、情報交換や交流を図ることが目的です。
この交流では毎年、お互いの国を交互に訪れていて、今年で7回目になりました。
今回は、韓国・ソウルで開催されるICCCPOという小児がんの学会みたいなもの・アジア版に日程を合わせています。
どんな学びがあるのか、今からワクワクしています。

イラスト:ふくいのりこ
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