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《71》 限りがある「車いすマーク」の駐車場

  • 樋口彩夏
  • 2014年8月19日
  • 読了時間: 4分

自動車の運転免許を取得して3年。

初めて免許の更新へ行ってきました。

有効期限の背景が黄緑色から水色に変わり、写真も新しくなりました。

3年しか経っていないのに、けっこう雰囲気が変わるものですね。

古くなった免許証は、記念にもらって帰ることにしました。

今後、どんな風に歳を重ねていくのか、免許証の写真で追いかけてみたいと思います。

ゴールド免許になるには、もうひと更新! 無事故・無違反、安全運転を心がけます。

ところで、障害のある人などが利用できる駐車場があることをご存知ですか?

車いすマークが書かれた、ちょっと広めのスペースで、障害者等用駐車場といいます。

免許更新で行った運転免許試験場にも、障害者用駐車場はありました。

しかし、すでに軽自動車が止まっていて、空きがありません。

車いすを使っている私は、乗り降りに広いスペースが必要なので、他に止められる場所がないか、ぐるぐると探して回りました。

結局、止められる場所が空いていなかったので、試験場の敷地で路上駐車しました。

日常生活のなかで、広い駐車場がなくて車が止められずに困ることは、少なくありません。

このことに遭遇する度、考えることがあります。

「障害者用駐車場は、誰のために、何のために、あるのだろうか?」

国交省の示す定義に、「車いす使用者だけでなく、身体の機能上の制限を受ける高齢者・障害者等であれば利用することは可能」という文言があります。

障害者用駐車場の利用対象は、障害者、高齢者、傷病者、妊産婦であると、読みとれるでしょう。

とても広範な対象ですが、この人たちは駐車場に対して、異なるニーズをもっているように思います。

 ・足腰が弱くなってきたので、なるべく便利のいいところに止めたい、高齢者。

 ・転んで骨折してしまい、すこしの間、松葉杖。

  近くに止められたら助かるなぁ、傷病者。

 ・お腹が大きくて、身体が重い。

  ドアもたくさん開けなきゃいけないし、近くて広いところがいいな、妊産婦。

 ・車いすの積み降ろしや乗り降りに広いスペースが必要。

  でも近くなくてもOK、アクティブ車いすユーザー。

 ・同乗者が車いす、乗り降りの身体的介助もあるし、広くて近いところがいい人。

 ・障害はあるけど、義手や義足、視覚・聴覚障害。

  普通の駐車場で大丈夫だよ、という人。

 ・見た目は健康だけれど、心臓や腎臓、呼吸器疾患などで、つらい。

  広くなくてもいいから近くに止めたい人。

 ・知的・精神障害で、停めるところに、こだわりがある人。

ちょっと想像するだけでも、これだけの違いが出てきます。

対象となっている人の中には、障害者用駐車場の“広くて近い”を必要としない人もいそうです。

そうだとしても、けっこうな割合の人が対象となっているように感じました。

現状ではそのすべての受け皿を、数の限られた障害者用駐車場に求めています。

止められなくて困っちゃうという事例が頻発するのは、ある意味、当然のことなのかもしれません。

では、みんながズムーズに駐車場を利用できるようにするためには、どうしたらよいのでしょうか。

一番、簡単なのは、すべての駐車場の幅を広くすることでしょう。

そうすれば、ほぼ解決です。

しかし、私の中では、腑に落ちない点もあります。

駐車場の敷地が限られている中で、すべての幅を広げるとなると、当然、収容台数は減ってしまいます。

所有者にとっては、おそらく収容台数の確保のほうが切実な問題だと推察します。

私自身、駐車場で困っている身ではありますが、それを無視してはいけないと思うのです。

駐車場の所有者の利益と、さまざまな不自由を抱える利用者のニーズと折り合いをつけて、落しどころを探る必要があるのではないでしょうか。

そもそも、そんなに難しい話ではないような気もします。

幅が広くて建物に近い場所に設置されているのが、障害者用駐車場です。

理由は違えども、「本当に必要としている人が、止める」。これが徹底されれば良いだけの話です。

障害者用駐車場の存在意義に立ち返れば、単純明快かつ至極当然のことと言えるでしょう。

けれども、必要ではないのに便利だから止めちゃおうという人もいるのが現状です。

その人たちは、きっと、駐車場に記された車いすマークの意味を考える、心の余裕すらないのだろうと想像しつつ、そこに悪意がないことを願います。

とくに、気になるのは、小さい子供を連れている、あきらかなに健康そうな家族の姿です。

子供たちは、親の姿を見て育っていきます。

自動車を運転している親御さんには、子供のお手本になるような行動をとってほしいなぁと思います。

障害者用駐車場の在り方――。

何度も考えているのですが、いまだに明確な答えが出せずにいます。

いろいろな答えがあると思うけれど、みんなが気持ちよく駐車場を使えるようになるといいなぁ。

イラスト:ふくいのりこ 

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