《86》 車いすの主人公、名前は“彩夏”
- 樋口彩夏
- 2015年1月27日
- 読了時間: 2分
ひさしぶりの外出です。
「マンゴーと赤い車椅子」という、車いすの女性が主人公の映画を観に行ってきました。
主演である秋元才加さんの舞台挨拶付きの先行上映に期待が膨らみます。
この映画に興味をもったのは、一昨年の12月に行なわれた、制作発表会見の記事を読んだのがきっかけです。
「車椅子の映画か〜!」にはじまり、主人公の名前は“彩夏”。
偶然、名前が一緒だったことから、妙に親近感がわいてきます。
待ちに待った封切りなのだから、気分が浮かないなどと言っていられません♪
全国公開前なので具体的に触れることは控えますが、突然の事故で下半身不随、車いすの生活となった主人公が、家族や友人に支えられながら、障害と向き合っていく姿を描いた作品です。
脊髄損傷患者を多く扱っているリハビリ病院が舞台なので、主人公のみならず、たくさんの車いすユーザーが登場していました。
作品の中には、脊損特有の事象が当たり前の事実として、随所に盛り込まれています。
鑑賞中、近くの観客から漏れた「そんなこともできるんだー。」という一言にハッとしました。
私は当事者だし身をもって理解しているので、普通に観ていたけれど、健常者や脊損と縁遠い人たちにとっては“気づき”に富んだ内容なのかもしれません。
私はというと、あまりにも当事者過ぎて、冷静に観ることができませんでした。
劇中に描かれている、受傷から障害を受け入れるまでに生じる葛藤は、痛いほどに、手に取るように分かります。
心の動きが自分や友人たちの姿と重なり、涙があふれてきます。
終始、登場人物と一緒になって一喜一憂し、すっかり感情移入してしまいました。
もう一度、当事者目線ではなく、客観的に観てみたいと思います。
そういえば、主人公の彩夏が乗っていた車いすは、私と同じ機種でした。
見慣れた車いすがスクリーンを駆ける姿を観るのは、なんとも不思議な感覚です。
フレームの色が違うと印象がまったく違うんだなぁと、あらためて思ったりもしました。
脊損のみなさんは、当事者ならではのマニアックな見方も楽しめると思います。
そろそろ元気を出したいなぁと思う、今日この頃。
外出する、よい機会になりました。

イラスト:ふくいのりこ
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