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《92》 コルセットは身体の一部

  • 樋口彩夏
  • 2015年4月3日
  • 読了時間: 3分

慌ただしい年度末も終わり、新年度がはじまりました。

新しい生活を迎え、環境に変化のあった方も多いのではないでしょうか。

3月は、あっという間に過ぎ去った感があります。

私は寝込むに寝込めず、中途半端な風邪を3月いっぱい引きずっていました。

喉(のど)の痛みと微熱は、いつになったら治るのやら・・・。いまだにスッキリしない日々がつづいています。

回復に時間がかかるところを見ると、生活の端々に“治療の陰”があるんだなぁと、あらためて気付かされます。

(補足:治療=14歳で発病したユーイング肉腫(小児がん)に対する治療)

それは、さておき、一大事です。

毎日、装着している軟性コルセット(医療用)のベルト部分が今にも引きちぎれそうで、気が気ではありません。

一応、補足すると、決して太ったわけではなく、経年劣化です。

このコルセットなしに私の生活は成り立たないので、死活問題と言えるでしょう。

窮地に立たされたのは3月28日土曜日、3本あるベルトのうち1本に大きな亀裂を発見しました。

病院や装具屋さんに助けを求めようにも、土日祝日は営業していません。

軟性コルセットとは、メッシュ状のプラスチックに金属の支柱を沿えて、縦方向の強度を増した帯状の巻物です。

ギプス包帯を使った採型をもとに、義肢装具士の手によって仕立て上げられます。

腰部や胸部などに巻き付けベルトを締めることで、患部を安定させ、負担を軽減する効果があります。

日常的に装着する場合には支持力と同時に、普段の動作の妨げにならないことも重要です。

手術後に使われる硬性コルセットでは身動きがとれないけれども、市販のサポーター(腰痛対策等で市販されているゴム製のもの)では支持力が足りない――このような場合、軟性コルセットの利点と合致します。

私の場合は、なるべく仙骨に負荷がかからないようにするため、腰にコルセットを装着しています。

腸骨を締めて仙骨部を安定させつつ、肋骨下で荷重を受けている状態です。

3本あるベルトのうち、骨盤にかかる一番下と真ん中のベルトは割と強めに締めることから、今回の事態へ発展しました。

金具にベルトを通し、そこを支点にグイッと引っ張るものだから、かなりの抵抗が生じベルトが摩耗していくのです。

2夜明けた、月曜日。

ベルトが切れそうなコルセットは、装具屋さんの素早い対応のおかげで新品同然に修復されました。

ブチッと切れはしないかという不安から呼吸さえも恐る恐るだった、2日間が嘘のようです。

午後は晴れ晴れと過ごすことができました。

昨日までは、コルセットの造り直しによって生じるであろう諸々に頭を抱えていました。

新しく造るとなれば、病院を受診しなければなりません。

医師の診察を受け、装具屋さんに型を採ってもらい、出来上がるまでには2週間ほどかかります。

製作中の座位保持や、通院のために仕事を休むことなど、一瞬にして、いくつもの不安がよぎりました。

使い慣れた補装具を手放すことにも抵抗があることから、修理で済んだことにホッと胸をなで下ろしたのは言うまでもありません。

もはや身体の一部とも言えるコルセット。

日頃からきちんとメンテナンスを行うことの大切さを再認識しました。

イラスト:ふくいのりこ

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