《95》 わたしの血管よ、あなたはどこ?
- 樋口彩夏
- 2015年5月22日
- 読了時間: 3分
3月に風邪をひいて以降、体調の思わしくない日々がつづいています。
微熱が落ち着いたかと思えば、しばらくすると腰痛がひどくなりました。
それも治まり一安心していたら、次にやってきたのは、めまいです。
先週、突然のひどいめまいで起き上がれなくなったときのこと。
2日間の自宅療養で回復のめどが立たなかったので、かかりつけの大学病院で小児科を受診しました。
20代半ばにもなって小児科にかかるのは違和感があるけれど、小児がんの治療過程を知っている医師でなければ診察は難しいので、仕方のないことです。
主治医は状態を診て、点滴で薬の投与が必要だと判断しました。
しかし、私は血管が出にくいうえに逃げるらしく、ルート確保は至難の業!
毎度のことながら、医療者泣かせの血管です。
過去には、こんなことがありました。
・新生児用の赤いライト(血管確保補助具)
入院中、点滴に使っていた血管が漏れて、使えなくなったときのことです。
新しいルートをとろうとするけれど、なかなか使えそうな血管が見つかりません。
グーパーをくり返したり、温めてみたり、主治医との試行錯誤がつづきます。
一向にめぼしい血管が出ない中、先生が持ち出したのは「赤いライト」——血管探しを手助けしてくれる道具でした。
それは、ライトをかざすことで血管の走行が確認しやすくなるという代物です。
狙うは、手背(しゅはい=手の甲)の血管。
めったに使わないのだけれど・・・という前置きのあと、赤いLEDライトを手のひらで握ります。
それが功を奏したのかは記憶が定かでないけれど、いつも1回でとってくれる先生が秘密道具を使ったことに驚いたのでした。
・他科の医師を助っ人に
空きベッドの都合で、複数の診療科が入った混合病棟にいたときのことです。
例のごとく、血管確保で苦戦していました。
看護師さんでは手に負えず、当直の医師へバトンタッチするも、失敗を重ねるだけで入る気配がありません。
患者歴が長くなると、成功するか否かの勘も鋭くなるものです。
その点に関しては、わたしの弟も目が肥えていたので、これではらちがあかないと思ったのでしょう。
弟は一度病室を立ち去り、同じ階にある小児病棟から応援の医師を連れて戻ってきました。
顔見知りの小児科Dr.は、私の血管に適した針を持参し駆けつけてくれたのです。
見慣れたDr.の顔に、私はホッと安堵しました。
それまでの7回の失敗が嘘のように、あっさりと1度で血管確保に成功したのでした。
血管確保の難しさには、過去の失敗や漏れ、加齢などによる器質的な要因が考えられます。
しかし、医療者との間に信頼関係があれば、多少なりとも難しさを和らげることができるかもしれません。
相手が旧知の医療者であれば、安心して腕を差し出せます。
初対面や面識の浅い場合、不安に思っているのは患者だけでなく、医療者もまた同じでしょう。
血管がとりにくい患者に出来ることと言えば、目の前にいる医療者を信頼して、ゆだねるに尽きます。
採血や点滴の折には、刺しやすい雰囲気づくりに患者としてどう協力するかを考えながら臨みたいと思います。
最近では、点滴を要するほどに体調を崩すことも、めっきり少なくなりました。
けれども、病気や障害と付き合いながらの体調管理は、なかなか思うようにいきません。
とにもかくにも、まずは体調を戻したいものです。
みなさまも、ご自愛ください。

イラスト:ふくいのりこ
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