《85》 仕事か、読書か、寝ているか
- 樋口彩夏
- 2015年1月22日
- 読了時間: 2分
近所の図書館から本を6冊借りてきたのは、先週月曜日のことだ。
貸し出し期間である2週間を冊数で割ると、約2日で1冊を読むペースになる。
本を借りた目的は、ひとつ。
現実逃避のためにほかならない。
なぜ、そう思いたったかと言えば、“痛み”以外のなにものでもないだろう。
「こういうときに読む本は、フィクションに限る」とは、最近の私の定説である。
意識が本と一体化するくらい、小説の世界にどっぷりと浸かるのだ。
そうしていると、多少なりとも“痛み”を紛らわすことができる。
正確に言えば、脆過ぎる腰に嫌気が差した、という精神的な問題なのかもしれない。
それは、コンピューターにも見抜かれてしまった。
今年の12月から、従業員50人以上の事業所に義務づけられることになった「ストレスチェック」。
私の勤め先では、昨年度の入社当初から年に2回、行なわれている。
パソコンを介して80〜90問の質問に答えると、グラフによってストレス状況が表れる仕組みだ。
パワーハラスメント対策を思わせる質問が追加されたこと以外は、今までと変わりない設問が並んでいた。
淡々と答えた後に示されたグラフは、歪な多角形。
「抑うつ」と「イライラ感」の項目が突出しているところを見ると、機械も侮れないなぁと妙に感心してしまった。
最近の生活を振り返ると、良くも悪くも、実にシンプルだ。
仕事か、読書か、寝ているか。この三つしか思い当たらない。
食事もしているけれど、読書か睡眠にあてるために削っている節がある。
おそらく、痛みから逃げるように、どれかに没頭しているのだろうと自己分析してみる。
もうすこし気の利いた方法はないかと考えてみたけれど、それすらも面倒で投げてしまった。
しかしながら、これが現実である。
痛みは消えないし、座位時間ものびない。
これらはどう足掻いても変わらないのに、認めたくない私がいる。
けれども、受け止めるしか道はない。
今の状態が続くことが、精神衛生上よろしくないことも自覚しているつもりだ。
自分の中で折り合いをつけるには、きっと諦めることも必要なのだろう。

イラスト:ふくいのりこ
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