《112》 続発性のリンパ浮腫って? 診断までの道のり
- 樋口彩夏
- 2016年12月4日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年5月18日
今、私がいるのは病院のベッドの上――。両腕は包帯でぐるぐると巻かれ、さながらミイラ人間です。
かかりつけの大学病院からリンパ浮腫の専門病院へ紹介されたのは、11月初めのことでした。そこでの診察の結果は、ほぼ「続発性リンパ浮腫」で間違いないだろうとのことです。放っておいてもつらいだけなので、早速治療を始めることにしました。病院が自宅から離れているため必要頻度の通院が難しく、1カ月の入院となった運びです。
リンパ浮腫とは、リンパ管に回収されるべき水分やたんぱくがうまくかえらなかったり、リンパの流れが停滞したりすることから起こるむくみのことを言います。多くは、乳がんや子宮がんなど、手術や放射線治療でリンパ系を損傷した場合に起こりますが、まれに化学療法の後遺症として発症することもあるようです。私の場合、下肢のむくみは重粒子線治療が考えられるけれども、上肢に関しては主だった原因はわからない、というのが現時点での結論です。しかし、骨盤の脆弱性(小児がん・ユーイング肉腫の後遺症)から自分で車いすをこぐことができなくなり、上肢の運動量が著しく低下したことや、造血幹細胞移植を併用した超大量化学療法も副因としては十分なものだということでした。結果として、小児がんに起因するさまざまな障害や下肢の麻痺(まひ)が複合的に作用して発症したものだと言えるでしょう。
■はじまりは5月
不調を来したのは、5月のことです。ひどい頭痛とめまいがつづきました。平日の夜には寝込むことも増え、車いすの乗り降りさえ危なげな日もあったけれど、すでにスケジュールは埋まっています。座ってしまえばどうにかなると、移乗だけを手伝ってもらい、平然を装って過ごしていました。
けれども、一向に良くなる気配はありません。6月を過ぎたころからは、体調面で迷惑をかけないようにと、新たな仕事は入れず予定をセーブすることに・・・。
波はありながらも、そんな状態が5、6、7月と過ぎる中で、もうひとつ変化がありました。日頃からむくんでいた脚が、いつにも増してむくむようになったのです。頻度も程度も、じわじわと悪化し、いつの間にか手持ちのズボンがすべて着られなくなっていました。身体が重い、移乗がつらい・・・。どうやら脚だけではなく、腕もむくんでいるようです。
6月から2カ月ぶりに体重を測ってみると、まさかの8キログラム増! あまりの変化に一瞬、目を疑いました。食べる量は変わっていないし、むしろ若干減ったくらいだし、何がそんなに増えたのか見当もつきません。
■体重増加の原因は
自力でむくみが引くことはなく、母にマッサージをしてもらって、なんとか日常をこなしていく毎日・・・。病院を受診したときの参考になればと、マッサージ前後で四肢の周囲がどのくらい変化するかを測ってみると、興味深い数値が得られました。右足首はマイナス1.3センチメートル、右足のつけ根に至ってはマイナス5センチメートルと、見た目にも明らかな変化です。体感的にも手足がすっと軽くなって、まるで重りがとれたかのような感覚でした。体重増加の原因はむくみ!? 疑問だけが深まります。
8月頭、急な体調悪化での短い入院をきっかけに、長引く体調不良の原因を探ることになりました。諸検査を経て、静脈、心臓、腎臓、肝臓、内分泌などの異常は否定され、なかば消去法のような感じでリンパ浮腫の疑いだけが残りました。そして、今回の入院に至ったのです。
まずは1カ月の入院加療でどこまでむくみが減るか、治療に専念したいと思います。

イラスト・ふくいのりこ
<アピタル:彩夏の〝みんなに笑顔を〟>
http://www.asahi.com/apital/column/ayaka/ (アピタル・樋口彩夏)
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