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《44》 健常者が思う「車いすOK」との落差!

  • 樋口彩夏
  • 2014年1月3日
  • 読了時間: 5分

あけましておめでとうございます。

昨年の1月末から書きはじめた、このコラム。

みなさまの応援があったおかげで、楽しく書き続けることができました。

ありがとうございます。

2013年は、みなさんにとって、どんな1年だったでしょうか?

今年も、みなさんの毎日に笑顔があふれ、よき1年となりますように♪

ひきつづき、私の素直な気持ちを綴っていきます。

紙面で、みなさまにお目にかかれることを楽しみにしております。

2014年も、どうぞよろしくお願いいたします。

2020年に東京オリンピック・パラリンピックがやってきます。

あと6年ですね。その大イベントに期待をよせて、宿泊施設について思うところを書きます。

さて、いきなりですが、質問です。

あなたが泊まるところを探すとき、なにを基準に選びますか?

と言っても、選ぶ基準は、どういう目的で泊まるのかによって変わってくるかと思います。

家族や友人、恋人との旅行。

はたまた、一人旅。

あるいは仕事の場合、短期または長期滞在などでも違ってきます。

価格、料理、お風呂、立地・・・さまざまな選び方があるでしょう。

先日、上京したときのように、ひとりで出張感覚の場合。

私の宿泊先を選ぶ指標となるのは、なにを差し置いても、次のことに尽きます。

「車いすでも、介助者の手を借りずに、ひとりで泊まれるところ」

ひとりで泊まれるかなんて、子供じゃないんだから当たり前!?

でも、これを満たした宿探しは、むずかしい!

情報のあふれる現代においても、骨の折れる作業です。

私の宿探しを再現してみましょう。

用意するものは、パソコンと電話と筆記用具、そして行く先の路線図。

まずは、おでかけの用事にともなう移動経路から、泊まる地域を絞ります。

それが決まったら、最初に使うのはパソコン。

インターネットで、泊まりたい地域にあるホテルを調べます。

車いすかつ一人での宿泊ということから、和室は選択肢から除外。

気になるホテルがあったら、そこのホームページをクリック。

客室の情報が書いてあるページを探します。

そこに「ユニバーサルルーム」や「バリアフリー対応」「車いす可」「ハートフルルーム」「ハンディキャップルーム」などの文字が見つけられれば一歩前進、すこし期待が持てます。

そこからは、写真や間取り・館内図、平米数(記載がなければ、延べ床面積を客室数で割ったりもする)、他サイトでの口コミなどを読み込みます。

このときに見るポイントは、トイレとお風呂。

入口に段差がなく、車いすで通られそうな幅があるかを、おもに見ていきます。

平米数が活躍するのは、写真や間取りなどの判断材料がないとき。

“X平方メートルの部屋にベッドとテレビとトイレとお風呂がはいったら・・・残りはY平方メートル。

だいたい、こんな配置だろうから・・(間取りを書きながら)・・・車いす、通るでしょ♪“

みたいな、考察をするのに平米数を使うのです。

ある程度、見て、大丈夫そうだな!となったら、電話と筆記用具の出番。

ホテルに電話をして、最終確認を行ないます。

車いすだけど、泊まれますか?なんて、漠然とした質問ではなく、ここは具体的に聞いていきましょう。

先方からは、歩けますか?という的外れな質問をされることもしばしば。

でも、ここは温厚に、冷静に。

厄介な客と思われるかもしれないという懸念は忘れて、知りたい情報を聞き出していきます。

この行程を、ホテルが決まるまで、くりかえし。

ところで、“「車いす可」の記載があるのに、そこまで調べる必要があるの?”とも思える、この行為。

それには、ちゃんと理由があります。

“念のため”と用心を図って、客室の造りについて電話で問い合わせをしたときのこと。

お風呂とトイレの造り、入口の段差の有無を確認してみました。

ホテルA : 入口の幅は車いすでも通られる。でも、段差(神社の敷居みたいに跨ぐもの)があった。

ホテルB : 段差はなかったけれど、入口の幅が車いすで通らなかった。

入口が通られないのに、「車いす可」なの!?と、おどろきを隠せません。

敷居のような段差については、「歩けないので、車いすのまま通りたいのですが・・・」と語尾をにごすと、ホテルの方には盲点だったようです。

思わず、「あっ・・・、そうですよね・・・。」と力のない声を漏らしていました。

このような具合で、健常者には気づかないことも多いのです。車いすユーザーの視点は!

仕方のないことではあるけれど、健常者の言う「車いすOK!」に対しては、一考の余地があります。

そのことから、“念のため”の電話問い合わせは必須となります。

それとは反対に、立派なユニバーサルルームをもっていながら、ホームページには掲載していない。

そんなホテルも複数、見受けられました。

あるなら、書いてよ〜と言いたいところですが、そこには謙遜では済ませられない複雑な事情があるようです。

私だって、なにも、完璧を求めているわけではありません。

“すべての人にとっての完璧”に対応するには、無理があります。

だから、「部屋・お風呂の入口が平らで、車いすが通ればいい」を基準に宿探しをしているのです。

そんな最低限を満たしたホテルを探すことでさえ、一苦労する現状。

結局のところ、ヒト対ヒトに勝るものはなく、インターネットの情報と電話での問い合わせで得た情報をすり合わせながら、ひとりで泊まれるかどうか判断していくことになります。

最後に鉄道やバスの路線図。

これは土地勘がないので、普通に乗り換えや距離感の把握に使います。

ここで大事なのは、最寄り駅のバリアフリー事情を確認すること!

泊まれるホテルを探すことに気をとられてうっかりしていると、駅にエレベーターがない!とあたふたする羽目に。

すべての駅が使えるように・・・という話は置いといて、気持ちよく行動するために欠かせない一手間です。

上記の過程に要する時間、約1日。

要領を得るまでは、本当に日単位の時間がかかってしまうのです。

これが、旅行や温泉も、という状況になると、2、3日は優にかかります。

たくさんの×が並ぶなかに○があるかないかのノートを眺めながら、“人並みに楽しむのも、大変だなぁ〜”なんて思いながら、ひたすら電話をかけていく感じです。

そんなこんなを経て、私が出張するときの定番宿となったのは、「東横イン」。

なぜでしょうか? 次回は、それについて。

イラスト:ふくいのりこ 

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