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《73》 激しい痛みの原因は「骨折」

  • 樋口彩夏
  • 2014年9月25日
  • 読了時間: 3分

久しぶりの入院です。

8月半ばからつづく腰痛の悪化に堪えかね、病院へ行ってきました。

精査の結果は、「ユーイング肉腫 重粒子線照射後の“骨折”」。

右仙腸関節が2カ所骨折していることがわかりました。

座っている時間が増えたことと、骨盤がもろくなっていることが原因で、絶対安静の入院を強いられています。

骨折と聞くと、まず浮かんでくるのは、転んだ? ぶつけた? など、なにか無茶をしたのかという疑問でしょう。

迷わず、NO! と答えられます。

11年前、私は右仙骨部にユーイング肉腫という小児がんを発症しました。

治療の一環で行なった重粒子線治療のおかげで、一命をとりとめたと言えます。

しかし、抜群の効果の裏には、副作用がつきものです。

重粒子線を照射した私の骨盤は、弱く、もろく、とても折れやすい状態になってしまいました。

医師の説明はこうです。

「あなたの骨盤は、自分の体重を支えるのが精一杯の強度しかありません。

振動や衝撃を避けるのはもちろんのこと、スポーツは厳禁。

車いすをこぐ動作も“日常生活レベル”内で留めるように。

また、骨の再生能力も失われているので、もし骨折したら、もとに戻らないことも頭に入れておいてください。」

大抵の医者は、副作用の類を説明するとき、大袈裟に言うものです。

私もそんな風に解釈していました。

けれども、重粒子線照射後の骨折に関してだけは疑問を抱きながらも、徹底して、律義に言い付けを守って生活してきました。

でも、結果的には、折れてしまったのです。

日頃から骨折しないようにと心がけていた生活の中でも、原因を探すとしたら……。

昨年の就職を機に、座る時間が増えたことくらいしか思い当たりません。

確かに、直前まで入退院を繰り返していた数年を思うと、身体には相当の負担だったのでしょう。

しかし、そうは言っても、労働環境に恵まれた職場です。

上司をはじめ、先輩や同僚も、身体に無理のないようにと気遣ってくださいました。

座っている時間は、“日常生活レベル”に収まる時間だったのです。

簡単に言えば、「ただ座っているだけで、骨が折れた」ということになります。

どうやら私の骨盤は、座る時間が長くなったことに、耐えられなかったようです。

整形外科の主治医と相談した結果、ベッドで安静にしていてどこまで回復するか、とりあえず様子をみることになりました。

理屈では骨折した箇所の回復は見込めないけれど、せめて安静時の痛みはゼロにしたいところです。

痛み止めの量を探りつつ、ひたすらベッド上で安静に努めています。

じっとしていると、「これから先、どうしよう……。」という懸念が頭をよぎります。

でも、今は、考えないことにしました。

まずは静養が第一と、自分に言い聞かせています。

イラスト:ふくいのりこ 

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