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《93》 支払いできるICカード、障害者の味方

  • 樋口彩夏
  • 2015年4月10日
  • 読了時間: 3分

とっても便利な決済機能付きICカード。

実は、その便利さを顕著に感じているのは、障害者なのかもしれません。

SuicaやPASMOに代表される交通系ICカードは、改札の読取機にピッとかざすだけで精算ができる優れものです。

いまや現金で乗車券を購入する人の方が少ないのではないかというくらい、広く普及しています。

改札をタッチ&ゴーで颯爽と通過する様に憧れていた私が手始めに作ったのは、福岡県でメジャーな私鉄が発行しているnimocaという交通系ICカードでした。

券売機にお金を入れて乗車券を買う手間が当たり前だと思っていた私には、カルチャーショックに値する驚きです。

しかも最近では、電子マネーを搭載したSuica等が登場し買い物もできるというのだから、画期的な代物です。

財布を取り出す動作がなくなるだけで、こんなにもスムーズになるものかと、ただただ感心するばかり。

今更ながら、その便利さを実感しました。

私がnimocaを作ったのは、脳性麻痺によって上下肢に障害のある友人がスマートに使いこなしている姿に触発されたことがキッカケです。

電動車いすに乗った彼は、社員証のようにnimocaを首からさげて現れました。

紛失しないための工夫なのだろうと、たいして気にも留めずにいると、後に私の考えが浅はかだったと気付かされます。

「これで、お願いします。」

食事が済んだ会計時、彼は首からさげたnimocaを差し出しました。

チャージされたところから食事代を差し引き、支払いは完了です。

電車に乗ったり、買い物をしたり、生活のいたるところでお金を扱う機会は発生します。

手が不自由なく動く人には何でもない動作でも、上肢に障害のある人にとっては厄介な場面といえるでしょう。

とくに小銭は、手の利く私でさえ、少し手元が狂うだけで落としてしまいそうになるのだから、神経を使う動作であることは間違いありません。

時間をかければ自分で出来たとしても、会計待ちの列がうしろにずらりとできるようでは、現実的ではないでしょう。

お財布を預けて支払いを他人に任せる方法もありますが、現金を扱うだけに、頼む側にも頼まれる側にも、少なからず抵抗があるように思います。

手が不自由でもスマートに会計をこなす彼の姿は、そんなモヤモヤを吹き飛ばしてくれました。

決済機能付きICカードという文明の利器を使うことによって、安心かつ明朗な会計が実現します。

聞けば、公共交通機関や飲食店、買い物等、たいていの支払いにnimocaが使えることから、金銭管理もしやすくなったそうです。

なにより、会計のたびに他人を頼らなくて済むというだけで、気持ちが軽くなるような気がします。

障害者が外出するときのハードルは、ひとりで出来ないことの数に比例して高くなるものです。

しかし、現代には、障害を補ってくれる便利なモノがたくさん存在しています。

それらをうまく活用し出来ることを増やすのも、ひとつの方法なのではないでしょうか。

“みんなにとって便利なモノが、実は障害者のお役立ちツールにもなっていた!”

そういうモノがもっと増えたらいいなぁと、技術の進歩に期待が膨らみます。

イラスト:ふくいのりこ

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